アフガニスタンの永続的危機?
2023年8月16日
前田 朗
「国境なき女性たちWomen without Borders」の政策ペーパー「アフガニスタンの永続的危機? アフガン女性は問題の鍵をいかに保持するか」という文書がある。
表紙を入れて9頁。新しい情報ではなく、これまでに知られている事実についての検討と、今後に向けての勧告である。ごくごく簡潔に紹介する。
Nargis Nehan, Afghanistan’s Forever Crisis? How Afghan women hold the key to a
problem with no quick fix. Policy Paper No.10, August 2023, Women without
Borders.
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国境なき女性たちは、ウィーンに事務局のある団体で、2001年以来、世界で、女性のリーダーシップとエンパワーメント、ジェンダーに基づく暴力に取り組んできた。
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筆者のナージス・ネーハンNargis Nehanは亡命したアフガン女性人権活動家である。内戦時にパキスタンに逃れ、難民のための高校を卒業し、国際機関で働いてきた。アフガン教育省の顧問を務めたこともある。
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ペーパーは2つの勧告を示す。
1. 世界は、アフガン女性と青年を長期に及ぶパートナーと承認しなければならない。アフガン女性及び市民社会ともっと真剣にかかわる必要があり、自分たちのプラットフォームで彼らを支援し、他の行為者と対話し、アフガニスタンの持続可能な平和のための政治的道筋を発展させる必要がある。
2. 国際社会は、現行の人道危機に対処しなければならない。経済崩壊により貧困に追いやられているアフガン人民は、空約束ではなく、緊急支援を必要としている。
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ペーパーは、ターリバーン政権復帰後、西欧諸国の不作為の2年で、アフガニスタン人民には破壊的な悪影響が及ぼされたという。国連安保理事会の制裁監視チームによると、アル・カーイダやパキスタンのTTPなど、20以上のテロリスト集団がアフガンで活動している。ターリバーンとアル・カーイダの結びつきが強化されていると言われる。
西欧諸国はターリバーンが変化するのを2年間待って、アフガン人民の苦難を無視している。国際社会がアフガン女性の声に耳を傾けるべき時である。
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女性やマイノリティの権利は益々制限されている。女性の仕事がどんどん奪われている。ハザラ人の宗教行事も妨害されている。
最近の命令は、女性がNGOや国連機関で働くことを禁止したため、ジェンダー平等がいっそう失われている。女性が生きるのが最も困難な国である。
国内では女性たちが危険を冒しながら声を挙げている。国から追い出され、一時収容され、新しい国での生活を余儀なくされている。路上やメディアで教育を受ける権利を主張している女性もいる。だが、自分の意見を表明することはますます困難となっている。
それでも、アフガン女性は国際社会がターリバーン政権を承認しないよう求めている。1990年代と違って、今日の女性たちにはソーシャルメディアがあり、世界に向けて情報発信している。