2023年5月2日
<文献紹介>
北垣由民子「アフガニスタンの女性と人権」『神奈川大学評論』102号(2023年)
https://www.kanagawa-.ac.jp/aboutus/publication/criticalessay/hyouron_102.html
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著者はRAWAと連帯する会事務局スタッフ。
本論稿は次の構成である。
1 あるアフガニスタン女子留学生
2 RAWA(アフガニスタン女性革命協会)
3 ソ連の侵攻とミーナ
4 RAWAと日本の「RAWAと連帯する会」
5 おわりに
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著者・北垣は、ミーナの伝記であるメロディ・チャビス『ミーナ――立ち上がるアフガニスタン女性』(耕文社、2005年)を読んで、アフガニスタン初のフェミニスト団体RAWAを知り、日本の団体「RAWAと連帯する会」を知り、そのメンバーとして活動するようになった。
北垣は「ミーナの壮烈な使命感と発信力に満ちた短い人生は、1923年9月1日の関東大震災直後に大杉栄とともに殺害された伊藤野枝を思い起こさせます。」という。
ミーナと夫のファイズも、原理主義者によって殺害されたからだ。
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2021年8月、ターリバーンが政権に復帰し、RAWAメンバーをはじめ多くの民主化勢力が国外亡命を余儀なくされた。国連や国際NGOに協力した人々が国外亡命し、アフガニスタンは深刻な頭脳流出と、従来にもまして激しい分断に見舞われている。
北垣は「彼女たちは、かつてのミーナのようにそれぞれの国で民主主義と女性の権利を訴えています。けれども難民としての生活は厳しく活動も容易ではありません。アフガニスタンにとどまったRAWAのメンバーはいま、女性のために『隠れ学校』を密かに開いています。」という。