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2025.6.24
『アフガン難民の8歳の少女が誘拐され、ペシャワールで殺害された
少女の遺体は近所の家で発見』
月曜日、警察は3日間行方不明だった少女の遺体がバーナ・マリで見つかったと発表。容疑者アルタフは逮捕され、殺された少女の遺体は本日、容疑者宅で発見された。遺体は検屍のため病院に移され、警察に依れば、詳細は検屍結果が出次第発表されるとのこと。
死亡したのはアフガニスタン出身で現在ルンディ・アーバブ在住の8歳の少女と判明。目下、容疑者はこの事件に関して警察の尋問を受けている。
『ザララはどこに?タリバーンはアフガン歌手の失踪について何かを隠蔽』
他の女性アーティスト同様、ザララも沈黙を強いられた。彼女は妻としてまた母としての責任を果たすべく、機会はあったが国外に出ず、カーブルに留まっていた。ターリバンから見れば女性芸能人は軽蔑の対象で、不道徳とレッテルを貼られ、実際、彼女たちの生命は粗末に扱かわれるのである。
タリバーン関係者はザララを写したとされる不鮮明なビデオをネット上に載せ、彼女が自分の意志で家を出た、と主張しているが、このビデオが本物だとの証拠もなく、評者たちはこれは、彼女の失踪をより自然に見せ、疑惑を逸らさせるためと思っている。
UNAMA(国連アフガニスタン支援ミッション)をはじめ、複数の国際機関は「憂慮の表明」と、いつもの反応しか見せなかった。このような共犯関係にある国際機関は、アフガンの人々の安全と権利についてタリバーンと裏での交渉を優先させていると、大勢のアフガンの人々―特に女性たちが、非難している。
活動家たちは国際社会が早急に圧力をかけること、責任の所在を明らかにすることを求めている。ザララの事案は決して特別ではなく、現在の政治体制下でアフガン女性が直面している恐怖の反映である。
2021年のアメリカの後ろ盾を得たタリバーンの政権復帰によりアフガニスタンは女性にとっては生き地獄と化した。タリバーンの支配下では女性は公的活動が制限され、教育や職につく機会も、芸術的表現の機会も与えられず、厳しい制約の下、多くの女性が絶望の淵へと追いやられた。
2025.6.10
『コブラ・レザイーの残忍な殺され方 — イランでアフガン女性の死を黙殺』
残酷な殺害の黙殺はイランに避難しているアフガン女性が直面する根深い人種差別と家父長制を暴露している。公正さは再び否定された。
コブラ・レザイーはイランで生き延びようと闘っているアフガニスタンからの若い女性避難民である。2ヶ月前、出勤のため家を出た後、行方不明となった。6月初旬、彼女のバラバラにされた身体がゴミの如くテヘラン近郊のピシヴァ地域に捨てられた。四肢はバラバラにされ、身体の一部分は彼女の身分証明書と共に未だに発見されていない。まるで全く存在していなかったかのごとく消されてしまった。DNA検査は耐え難い真実を明らかにした: この若い女性の生命は考えつく限り残酷な方法で終わらされたのだった。
イラン当局は容疑者の逮捕を発表したが、彼女の家族には正確な情報は何も与えられていない。コブラは、他の多くのイランにおける人種差別、性差別、組織的な放置と日々闘っている人々と同様、世の中から取り残されたアフガン難民という生い立ちである。
このおぞましい彼女の殺害は性差別に基づくものであるが、イラン女性が関わる事件の場合と違いメディアはあまり取り上げなかった。イラン女性の事件の場合、彼女たちの話は世界中の関心を呼んだ。しかしコブラの場合、その残虐性にも拘らず、殆ど取り上げられず、世界的な大見出しとはならず、国を挙げて喪に服す、といった事態にもならず、大きな抗議活動もなかった。ただ、難民女性が殺害され、静かに消されただけであった。
このように対照的な事態はアフガニスタンの避難民たち、特に女性たちがいかに非人道的に扱われているかを示している。コブラ殺害は単発的な暴力行為の現れではなく、数々の抑圧の仕組みが絡み合った結果である: 家父長制、人種差別そして国家が確立していないという残酷な状態。彼女の話は傾聴に値し、彼女の名前は記憶され、そして彼女の件だけでなく、使い捨てされている難民女性たちの生命にとっても正義が追求されるべきである。
DW
Global Media Forum, May 18, 2025より翻訳
By
Shabnam von Hein | Ahmad Waheed Ahmad
2025.5.18
『タリバーン支配のアフガニスタンでは権利が常に攻撃の的に』
2001年、タリバーンはイスラム以前の軌跡を消滅すべくバーミアン谷の大仏像を破壊した。
他の多くの地球的規模の危機の中で、世界のメディアではアフガニスタンにおける人権状態は軽視されていた。タリバーン政府の下、何百万もの人々が組織的な権利侵害に苦しめられていた、と国連は報告した。国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)は彼の国における人権の状態を観察し、定期的に国連に報告をしている。もっとも新しいアフガニスタンにおける人権に関する報告でUNAMAは性別に基づく暴力や公開懲罰執行などの事例だけでなく広がりつつあるイスマイリ共同体による迫害の例をも報告書としてまとめている。
イスマイリ主義はシーア派イスラムの一派であるが、アフガニスタンではスンニ派イスラム教徒が多数を占める。イスマイリ共同体住民の多くはバダクシャンやバグランなどアフガニスタン北部に居住している。バグダクシャンでは、イスマイリ共同体の住民がスンニ派への転向を強要された例が少なくとも50件あり、それに従わなかった住民は身体的攻撃、死ヘの脅しを受けた。
「彼らは強要によりスンニ派への信仰を告白してやっとイスラム教徒として認められる」とアフガンイスマイリ共同体の一員であり教授でもあるヤクブ・ヤスナはDW(ドイチェ・ヴェレ: 西独の放送局)に語った。ヤスナ自身はかつて2021年のタリバーン支配の後、民衆の啓蒙と社会における寛容を説いたため、神を冒瀆したと非難を受け、大学での教職からの退職を余儀なくされ、その後復讐を恐れ国外へ出た。
<「暴力の温床」>
タリバーンが復権する以前でも少数派のイスマイリ共同体に対しては決して寛容であったとは言えないが、少なくとも彼らの市民権を擁護する政治体制であった、しかしタリバーン支配下では寛容さは確実になくなってきている。「彼らの権利が侵害されているこんにち、彼らは誰に頼れば良いか分からない。彼らの子供たちはスンニ派への信仰の告白を強要されている」とヤスナは語った。
「タリバーンの支配下ではただひとつの信教が法的に認められる。彼らが解釈するイスラムと異なるものは排除され、このようにして宗教的少数者に対する暴力の下地が作られていくのである。」
アフガニスタンにおいていまだに存続している宗教的少数派に対しての抑圧が増している、とアフガンの人権活動家であるアブドラ・アーマディは認識している。「イスマイリ共同体の子供たちはスンニ派が運営する学校への通学を強いられ、拒否したり、学校へ定期的に通わなかったりすると、彼らの家族は大変重い罰金を課せられる、という報告をいくつも受けている。」と彼は語った。
アーマディは、国際社会は彼の国における人権侵害について消極的に反応しただけだったと不満を述べた。彼は「彼らは責任を負うべきだ」と、タリバーンの官吏を対象とした制裁を求めた。
<ノウルーズ(イスラム暦の元日・春分の日にあたる)の祭日はイスラーム的ではない>
歴史的にこの国は宗教的多様性において重要な中心的存在であった。しかし現在のアフガニスタンでは大変少数の人々からなる非イスラム共同体しか残されていない。
2021年9月に最後のユダヤ共同体の人々がこの国を去った。その土地に今でも居住しているキリスト教徒の人々は彼らの信仰を秘密裡に続けている。
アフガニスタンのもう一つの少数民族で多くがシーア派であるハザラ族は引き続き迫害を受けている。
タリバーンは信教の一つの解釈しか認めず、ある種の儀式や祝祭を禁止してきた。その中には春の訪れと新年を寿ぐノウルーズも含まれている。タリバーンはこの祝日は非イスラム的であり、アフガニスタンの誰もこの日を寿いではいけない、と宣言した。
アフガンの少女たちは中学校へ通うことが許されない
<女性の権利が脅かされている>
全ての女性の状況が悪化してきている。社会の半分が組織的な抑圧に曝されているということである。少女たちは6学年以上の教育を受けることが許されないという状態が続いて、そして女性のための高等学校や大学の再開に関して、実質的な権力からは何も発表がない、とUNAMAは報告している。
西部の都市ヘラートではいくつかの力車を押収し、運転手には近い親戚の男性「マフラム」と一緒でない女性を乗せてはならない、と警告を発した。
<アフガン人がパキスタンから強制退去させられる>
このようなひどい状況にも拘らず、アフガニスタンから近隣諸国に避難した人々が大量に退去を迫られている。国連によると、4月には女性や子供を含むおよそ110,000人がパキスタンから強制退去させられた。イランからも大勢の人たちが退去させられている。
「我々はいつアフガニスタンに戻されるかと毎日怯えて暮らしている」とアフガンの記者マルチア・ラヒーミはDWに語った。「子供たちもいるのに私はどうしたら良いのだ」
もし戻ったらアフガニスタンでは苦難と恐怖しか待っていない、とラヒーミは言い、タリバーン政権下では記者としての仕事が全うできず、また彼女の娘に教育を受けさせることもできないと語った。
多くの独立メディアの支局は活動を禁止されているか国家の支配下に置かれている。政権を批判する記者たちは逮捕され拷問にかけられることを覚悟しなければならない。
タリバーンの支配下で、この国は一層破局的な社会経済上の危機に陥っている。国連によれば、41.5百万の人口のうち64%余りが貧困に喘ぎ、50%が人道的援助を受けてやっと生き延びることができ、14%が深刻な餓えに苦しんでいる。