「ジェンダー・アパルトヘイト」(2)
2023年4月24日
文献紹介
Afghanistan Under The Taliban : A State Of
“Gender Apartheid”? By Naheed Farid and Rangita de Silva de Alwis, Princeton
Spia Afghanistan Policy Lab. 2023.
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目次
要約
背景:ターリバーンのアフガン支配
教育への影響
終わらない任務:破棄された約束
国際社会への勧告
資料
資料1「2021年8月以後のターリバーンによる女性の権利制限政策」
資料2「アフガニスタンにおける教員へのインタヴュー」
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終わらない任務:破棄された約束
ターリバーン復権以前、アフガン政府は女性と少女の権利保護に関与していた。2004年憲法第43条は教育の権利を保障した。2009年の女性に対する暴力撤廃法は、女性の教育の否定は女性に対する暴力の一形態と定めた。
2015年、初めての国内行動計画が策定された。2015-18年と2019-22年の2段階の計画を定めた。国連加盟国として国連憲章の諸原則を実施し、安保理事会決議1325を実効化しようとするものであった。
アフガンは各種人権条約の当事国であり、CEDAW、ICESCR、CRC、HRC(ICCPR)も含まれる。2021年8月にターリバーンが発した命令はこれらの関与に反するものであった。
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国際社会への勧告
各国政府と国際社会は、女性に悪影響を与えるターリバーンの政策を非難してきた。2021年8月、女性差別撤廃委員会と子どもの権利委員会はターリバーンに女性の権利の保護を呼びかけた。
2022年3月23日、ターリバーンが高校と中学の女子教育を閉鎖するや、国連安保理事会はターリバーンに女性の教育の権利の尊重を呼びかけた。
2022年7月8日、国連人権理事会は、「アフガンの人権と少女の状況」という決議を採択した。
2022年12月29日、女性差別撤廃委員会は、大学から女性を排除するターリバーンの決定を強く非難した。
しかし、もっと多くの努力が必要である。各国政府、国連機関、国際機関、地域機関、企業、NGOは次のような行動をとることを検討するべきである。
・ターリバーンと国際社会の対話により、女性と少女の権利の保護と促進を保障すること。
・国連や国際機関は、女性同伴でない限り、ターリバーン高官との面会を拒否するべきである。
・国連及び各国政府は、女性支援とエンパワーメントに関与することを確認しなければならない。アフガン女性は、世界中からの女性支援声明を必要としている。
・国連アフガン支援ミッションUNAMAの新代表は、女性の人権を擁護するべきであり、アフガン女性を採用し、女性が政治的対話や交渉に加わるようにするべきである。
・諸団体は、教育が再開されるまでの間、少女のためにオンラインとリモートの学習コースを設定するべきである。
・諸団体は、女性教員のためにリモート計画と研修を開発するべきである。
・各国政府は、少女が外国の高等教育機関に通えるように機会を提供するべきである。
・国連その他の機関は、女性が公共の場で男性付き添いなしに自由に移動できるように協力するべきである。
・国際機関は、アフガン国内及び国外に避難したアフガン女性団体との協力関係を強化するべきである。
・諸団体は、アフガン難民住民のために教育機会を継続できるように努力するべきである。