2022.7.4
前田朗
OMCT、SOS-Torture Networkの報告書「女性が沈黙を破る アジアのジェンダーに基づく拷問」の紹介続き。
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第8章「アフガニスタンのターリバーン統治下における女性に対する暴力」
第4章 女性問題省の美徳省への変更
21年9月7日のターリバーンの発表による、女性問題省の廃止と、道徳警察と呼ばれる美徳省の設置を取り上げる。美徳省は1996年から2001年までのターリバーン政権時代に設置されていた。手首や踵の見える靴下をはいていたり、外出時に男性親族と一緒でないというだけで「違反」として女性を殴打したことで知られる。
21年11月、美徳省は、最初のガイドラインを発表した。テレビドラマに女性が出演することを制限し、タクシーやバスの運転手が男性親族と一緒でない女性を45マイル(72キロ)以上運送してはならないとし、イスラムに従って適切に覆われていない女性を自動車に乗せてはならないといったガイドラインである。Badghis地方の美徳省は、ブルカを着用していない女性を銃撃して威嚇した。
22年2月22日、美徳省は、女性と男性を分画することで、政府の職場に女性が復帰できるとしたが、女性は全身を覆う必要がある。ドレスコードに従わなければ失職する。
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第5章 司法制度の解体
過去20年以上、国際社会はアフガンの刑事司法制度の確立に実質的に協力した。女性に対する暴力などの犯罪への対処にも協力した。2004年の憲法制定後、最高裁、控訴裁、地方裁などの独立した司法機関が設立された。最高裁には女性に対する暴力を特に扱う部局が置かれた。
ターリバーンが権力の座に戻り、これらの司法機関の解体が始まった。最高裁はもはや機能せず、女性に対する暴力を扱う部局もなくなった。ターリバーンは女性に対する暴力法を廃止し、関連司法機関を解体した。ほとんどの裁判官や検察官は国から逃れるか、身を隠している。
2021年11月、ターリバーンはアフガン独立弁護士協会を司法省の統制下においた。武装ターリバーンが事務所に入り、職務停止を命じた。ターリバーンが承認した裁判官だけがイスラーム法廷で働いている。2,500人の法律家が資格を喪失した。女性は法律分野で働くことを禁止されている。
司法制度の崩壊に続いて、、ジルガのような紛争解決機関がふたたび中心となった。ジルガでは宗教指導者が役割を果たし、アフガンでは長い伝統を有する。国連拷問禁止委員会はこれを批判してきた。
ジルガ決定の被害者は36歳のヌルジアである。2021年9月21日、裁判所の決定で離婚を認められたのに、ターリバーンの決定により彼女は前夫の下に帰った。前夫には長年暴力を受けていた。彼女はインタヴューに応じて、「ターリバーンは、前政権の裁判所の決定は無効だと言いました。前夫と一緒に暮らしたくないと言いましたが、イスラーム法では夫には妻を殴る権利がある」と言われました。
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第6章 女性シェルターの閉鎖
2007年にアフガン独立女性機関によって初めて女性保護センターが設置された。危機にある女性のための安全なシェルターという緊急の必要に応じている。信頼、安全なシェルター、生命の危険から逃れるためである。15年間、女性保護センターは、シェルター、包括的法律支援、医療、心理サポート、カウンセリング、女性のエンパワーメント、子どもの教育を提供してきた。アフガンには22州に5のシェルターができた。2021年8月15日以後、ほとんどが閉鎖され、ターリバーンは女性たちに家族の下に帰るか刑務所に行くように命じた。
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第7章 強制結婚
ターリバーンが次々と州を握っていった時期、アフガンから逃げた家族の主な理由は、娘がターリバーンのメンバーと強制結婚させられることであった。ターリバーンの指揮官が部族のリーダーたちに12歳から45歳の非婚女性のリストを作るように命じた報告がある。ターリバーンの軍事要員と結婚させるためである。
ターリバーンのスポークスマンは強制結婚の事実を否定するが、バダクシャン、タカール、バーミヤンの被害者が強制結婚があると言う。スーマは5人の母親で、警察官だった夫は4年前に殺された。2021年8月13日にヘラート陥落後、ターリバーン兵士は結婚しなければ子どもたちを殺すと脅された。彼女には選択の余地がなかった。
ターリバーンの最高指導者ムラー・ヒバトゥラー・アクンザーダは2021年12月3日、この問題に関して、「男女は平等であり、女性に結婚を強いることはできない」と声明を出した。積極面ではあるが、不十分である。第1に子ども結婚とそのための子ども売買についての言及がない。第2に声明の実効性に疑問がある。女性に対する暴力法はもはや効力を失っている。女性省は廃止され、女性シェルターは閉鎖された。第3に、ほとんどの女性は仕事や学校に行くことを許されていないので、男性と女性の平等を語ることはできない。