差別の現実に弛むことなく、 人間の尊厳を求めて闘うRAWAとともに
2021年8月15日にターリバーンがアフガニスタンの政治権力を掌中にしてから3年の歳月が流れました。
2022年2月に始まったロシア・ウクライナ戦争、2023年10月に始まったイスラエルによるガザ攻撃をはじめ、世界は分断と戦争と人道危機に見舞われています。
このためアフガニスタンの状況に対する関心が薄れてしまいがちです。世界の悲劇を記録するには、3年という歳月は短すぎるかもしれませんが、アフガニスタンに生きる女性たちには長すぎる抑圧と果てしない差別の日々が続いています。
2024年8月14日、国連の人権問題特別報告者たちがアフガニスタンの状況に警鐘を鳴らす声明「国際社会はアフガニスタンにおけるターリバーンの支配を常態化してはならない」を発しました。
リチャード・ベネット「アフガニスタン人権状況特別報告者」、ローラ・ニリンキンディ「女性と少女に対する差別作業部会長」、リーム・アルサレム「女性に対する暴力特別報告者」、アナ・パラエス・ナーヴァエス「女性差別撤廃委員会議長」、アン・マリー・スケルトン「子どもの権利委員会議長」、アリス・ジル・エドワーズ「拷問問題特別報告者」をはじめとする36人の人権問題専門家たちは、ターリバーン政権の実態を「人権侵害態勢」と特徴づけ、「差別、隔離、人間の尊厳の貶価、女性と少女の排除の制度化されたシステム」と指摘しています。
声明は、国際刑事裁判所(ICC)がアフガニスタンについて捜査を進め、証拠がそろった事案について逮捕状を出すよう促すとともに、女性差別撤廃条約(CEDAW)違反について国際司法裁判所(ICJ)において審理を実現するよう提言しています。
声明は、ターリバーン政権下を生きる女性と少女たちの声に耳を傾けることが重要だと強調しています。
私たちは20年にわたって、アフガニスタンの女性と少女の声に耳を澄ましてきました。本年3月にはアフガニスタンを訪問して、カーブルやバーミヤンの女性たちと交流しました。本年6月にはRAWAメンバーを日本にお招きして、全国各地でスピーキングツアーを実現しました。
あらゆる困難に喘ぎながら、多くの女性たちが自由と人権を求め、民主主義の回復のために懸命に闘っています。
現代アフガニスタン史を悲劇の歴史にとどめるのではなく、深い闇の向こうに射している光を求めるRAWAに学び、私たちは次の歩みを始めます。
2024.8.15
RAWAと連帯する会